呼吸のように・・・

俳句のエッセー

2012-04-01から1ヶ月間の記事一覧

雲雀

私には歌の才能が、ない。小学校のころから、合唱大会だとか、コーラス何とかだとか、 先生が歌の上手な子を選んで編成することがよくあったが、 そのような選考に選ばれたことがない。どうも腹式呼吸というのができないようで、 数年前の伝統医学の実験では…

八重桜

まだ良くなっていない目を押して、 倶利伽羅へ八重桜を見に出かけた。慎重にそろそろと歩きながら、 まぶしい日差しを避けつつ花に接近していくと、 まだ、緑になり切っていない新しい葉に虫食いの痕を見つけることができた。 こうしてわたしが見ても、柔ら…

亀鳴く

これは、本当に幼いころの記憶なのですが、 家の背戸で亀を捕まえたことがあります。黒っぽい甲羅で、大人の掌ほどの大きさだったように思います。 子どもだったので、大きく見えたのかも知れませんが、 決して、緑亀のような小さいものではありませんでした…

桜は、散り急ぐ花である。 満開の期間は短く、その後は、絶え間なく花弁を風に散らす。その儚さ、潔さは、日本人の美意識や精神性を象徴しているように捉えられるが、 しかし、桜は弱くはない。むしろ、強い花だと思う。盛りを極めた桜は、突風にさえ、一枚…

春休み

いよいよ潰れそうな目を隠しながら、今朝、眼科へ行った。「はやり目(結膜炎)」ですね。と、厚紙に印刷された注意書きを持たされ、別室に待たされた。 他の患者さんにうつってはいけないからだ。幸い、それほど感染力の強いタイプではなかった。それでも、…

霞(かすみ)

大変なことになってしまいました。目が…目が…左の目が腫れて、 他人様にお見せできないようになってしまいました。風邪ひきは、まだ続いているし、 「弱り目に祟り目」とは、このことかもしれません。昨日、目がかゆいなとは、思っていました、 花粉症なので…

春田

こんな小さな町に、ヤマダデンキが進出してきた。 こんなところで商売になるのかと思うが、消費者としては有難いことである。 これで、はるばる車を走らせる必要がなくなったというものだ。これまでは、田んぼの真ん中を通って、近隣の大型店まで出かけて行…

夜、蛙が鳴き出した。 今はまだ、鳴き出したな…といった情緒があるが、 そのうち、すぐに、やかましくなることだろう。ある時、大学の先生が学生に、 「ダイヤル回して」と言うと、 「え?」と動作が止まった、という話を聞いた。ダイヤルを回す=電話をかけ…

春の夢

春の夢は、儚いもののたとえである。先日、私が蛇の夢を見た。 青花のような白地にコバルトブルーの柄が入った大蛇だった。続いて、姉が蛇の夢を見た。 海のように透き通った、真っ青な蛇だったという。我が家では、蛇の夢は縁起物で、 祖父が医師の試験に受…

山笑ふ

我が家にある三彩馬は、唐三彩の写しだが、 似ても似つかぬ30cmほどの小ささである。父が知り合いの方の遺品を買い取ったもので、 本人は、高価なものだと信じていた。しかし、なんとなく、そうではないかもしれないと感じていたかもしれない。 それでも、そ…

春祭

春祭りの神輿の巡行予定が回覧された。 キリスト者の私であるが、 この地に住む以上、愛宕神社の氏子でもある。祭りとなると、町内会の氏子総代の方が、お札を配りに一軒ずつ回るのだが、「神様持ってきました。八百円です」、と言う。神様は八百円で買うら…

春障子

本格的に風邪をひいてしまいました。和室に寝ていると、天井と障子ばかりを見ています。 春の日差しは明るく、白い障子がとても眩しく、美しく思えます。紙は、紀元100年ごろに、 後漢の蔡倫(さいりん)によって発明されたといわれます。後漢書によると、蔡…

初音

先日、俱梨伽羅峠で初音を聴いた。オレンジ色の夕日に染まった谷の木々に、 うぐいすは、もう立派に鳴いていた。「鶯」「春告鳥」「匂ひ鳥」「鶯の初音」「鶯の谷渡り」「鶯の高音」「初音」もう一つ、「経読み鳥」ともいい、 これは、「ホーホケキョウ(法…

春の虹

新年度が始まると、いろいろな組織が新しくなり、 何かと会議らしきものに出席しなければならなくなる。私は、特に何か役が回ってくる立場ではないが、 枯れ木も山の賑わいで、人数合わせによく声がかかる。ある日、教会の行事に出席していて、 突然、土砂降…

花疲れ

こっそり吟行句会を開いた。「お花見をしたいわね」などと話していた仲間と、 いきなり約束して出かけることになったのだが、「どうせなら俳句を批評し合いましょう」ということになり、小さな吟行句会となった。兼六園を、梅林から入って一周し、石川門から…

梅林

兼六園の梅林は、いつのころからか無料解放されている。桜が見ごろを迎える季節など、 年に何度かは入場が無料となる兼六園ではあるが、 梅林は関係なく、いつでも解放されている。梅の花が咲きそろう季節は、日が傾いてきても、 たくさんの人でにぎわってい…

ぶらんこ

ぶらんこは、 花を咲かせたり、実をつけたりするような植物ではないが、春の季語である。「古く中国から渡来した春の遊戯の具」ということのようだ。 (『風俳句歳時記』沢木欣一編 平成8年) 副季語に「ふらここ」「半仙戯」「ゆさはり」などがある。私は、…

三光鳥

ホトトギスの鳴き声を聞いたことがない、という人がいた。そんなはずはない。知らないだけだろう、と言って、 「テッペンカケタカ」とか 「トッキョキョカキョク」と 鳴くのだと真似をすると、すぐに分かってくれた。この便利な「聞き做し」は、他にも色々あ…

苺は、赤くて小さくて、頬がほころびそうなイメージですが、それほど甘くはない果物ですよね。食後のさっぱり感が欲しい時はいいけれど、 おやつには、ちょっと物足りないことがありそうです。何かをカップリングしちゃいましょう! 苺には苺のムースがお似…

花辛夷

かつての城の跡が、今では公園として、 四季折々の植物で満たされている。春には桜、ソメイヨシノが山を覆うように咲きそろう。その一隅に、一本、辛夷の花が咲いている奥まったところがある。かつて母に、この木の下で写真を撮ってもらった。ボーダーのシャ…

木の芽雨

石川県白山市にある、千代女館。 旧松任市になります。JR松任駅前にある、正確には「千代女の里俳句館」。加賀の千代女は、江戸時代の俳人。 朝顔やつるべとられてもらひ水この句がとても有名ですね。先日、ついでがあって、千代女館まで足をのばしました…

土筆

子どもの頃、土筆をいっぱい摘んできた。 それを料理してもらうのだけれど、いつも決まって少なかった。これではいけないと、次にはもっとたくさん摘んできたが、 それでも、一口程度しかなかった思い出がある。土筆は、調理すると嵩が減るんだ…しかも、実は…

復活祭(イースター)

イエス・キリストは、金曜日、十字架刑で亡くなり、 日曜日の朝、早く、ご復活されました。その時以来、礼拝は日曜日となり、 復活祭をもっとも重要なものの一つとしてお祝いします。私たちの罪の贖いとして、命を捧げられたイエスは、 しかし、蘇られたので…

蕗の薹

盛り土などせずに、境界だけがある昔からの住宅地では、 庭というと、ほとんど同じ植物が植わっていた。土に生えるものにしてみれば、 地続きならば、無限に蔓延っていくのは道理であろう。この辺りでは、どの家にも茗荷が生えていたし、 我が家にしかなかっ…

春蝉

もう、どれだけになるでしょうか。記憶では、母と、その頃お世話になっていた俳句の先生と一緒だったから、 もう、十五年ほどになるかも知れません。近くにある真言宗のお寺の庭へ入っていくと、 そこは鬱蒼として、日差しが届かず、 湿った空気が恐ろしく感…

満月

近頃は「メール」の時代で、 手紙やはがきを書く人が減っているとのことです。確かにメールは便利です。 ですが、手紙やはがきには、 メールにはない、何かを伝えることができます。特に切手は、その意味で、大きな役割を果たしてくれます。 絵画や写真の美…

朧夜

教会の前の木立の奥に、こもりなく鳥の声がします。もう子育てが始まっている、青鷺です。夜の祈祷会の静かな祈りの間も、 時々、鳴き声が届いてきました。鷺は、その容姿とは異なり、 余り美しい声を持っていないのは、意外です。教会を出ると、朧夜でした…

小綬鶏

急斜面を降りていった。 少し緊張しながら、足元を見ながら歩いていく。平地に出たので、腰を伸ばし、空を見上げた。ずっと足元ばかりを見ていたので、 青空が新鮮に見える。頭上高くに、痩せた月がかかっていた。 その細い筋は、空の青さに透き通って見える…

受難週

今週は、受難週といい、 イエス・キリストが十字架にかけられるまでの 最期の一週間にあたります。イエス・キリストの十字架は、 もっとも苦痛を伴うものであったと同時に、 私たちを救いに導くものでした。その喜びを我がものとするために、 しばし立ち止ま…

エープリル・フール

エープリル・フールは、公然と嘘をつける楽しい日である。とはいうものの、嘘をついてもいいよ、と言われると、 なかなか嘘がつけないもので、一生懸命、嘘を考えたりする。そのことが、もう、すでに馬鹿馬鹿しいと言える。これが嘘の特性のようで、 そもそ…