呼吸のように・・・

俳句のエッセー

2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

さくらんぼ

さくらんぼ。英語で、Cherry (チェリー)といいます。このカタカナも日本語として通用するので、 特に困らない単語の一つです。日本人が、言葉のうえでなんでも輸入してしまうのは歴史的な事実で、 日本で同じ漢字にたくさんの読みが存在しているのは、 中…

日永 (殉教の碑)

金沢にある卯辰山の一角に、耶蘇の谷と呼ばれるところがある。それは、この金沢に殉教した切支丹信徒を悼み、 殉教の碑が建てられたことから、そう呼ばれている。驚いたことに、それほど古い話ではない。日本が鎖国を解いて後、 神父のもとを訪ね、先祖から…

紅椿

椿の蕾が開き始めました。太陽に向かって、 幾重にもなる花弁の先を、解いていきます。解かれた蕾の小さな隙間に、 太陽の光がまんべんなく入り込んで、蕾の中に満ち、咲きはじめた紅椿の蕾が、まばゆいばかりに輝いています。光のオブジェのようです。太陽…

入学

高校の入学式で校長先生が、こう挨拶された。神様は、こうおっしゃる。 「あなたが、わたしを選んだのではない。 わたしが、あなたがたを選んだのです。」(ヨハネによる福音書 15章16節)この言葉を聞いて、私の母が涙したということは、 随分あとになって…

春の川

水嵩が多い今頃の川は、 トプン…トプン…とときどき音をさせながら流れていく。その一見ゆったりした様子が、逆に吸い込まれそうで怖い。流れに沿って歩いて行くと、 後から後から追い越されていく自分が、頼りなく感じる。流れは速い。川の流れに途切れはな…

小粉団の花 (こでまり)

小さな花が集まって、ボールのように枝に並んでいる。風が吹けば、枝がゆれ、ぽんぽんとボールが弾むようだ。しなやかなこでまりの白い花は、とても清楚なイメージ。友人が好きだったわけでもないし、 私が好きだったわけでもない。 ただ、この季節だから、…

春雷

日曜日は主の日。主イエス・キリストの受難を熱く説く牧師の説教は、1時間2分。 その途中、窓は暗くなり、 雷が轟き、激しい雨音がしました。ローマの裁判にかけられた主イエスは、 まったくの冤罪により、死罪となりました。もっとも重い十字架刑に処せら…

春の風邪

杉花粉情報が気になる頃です。手持ちの薬も、そろそろ底をつきそうなので、 あきらめて病院へ出かけます。診察の前から、花粉症だと決めつけていたので、 その通り医者に告げたところ、「花粉症で、咳はでないよ」 と、ぞんざいに言われたのでした。目がかゆ…

卒業式 (学位授与式)

今日は、記念すべき大学卒業の日。卒業するためには、入学しなければならないが、 私の場合、通信教育課程だったため、 入学の篩はあってないようなもの。すべてが卒業にかかっていた。たとえ、残り1単位であったとしても、 止めた!と言えば、それきりで、 …

黒椿

世の中には、黒い椿というものがあるらしい。よく聞けば、真っ黒な椿ではなくて、 深い赤が黒っぽく見えるのだそうだ。まだ、見たことがないので案内していただいた。そこには何本か椿があり、その中に黒椿もあるという話だ。しかし、椿は、まだどれも蕾で、…

石鹼玉(しゃぼんだま)

シャボン玉は、大きく膨らますのが難しかった。概して、大きいものは、壊れやすいように思う。 欲を出して、もっともっとと膨らませるうちに、飛ばないで割れることもよくあった。透明で、虹色に輝いて、すぐに消えてしまう。儚いもののたとえで使われる「シ…

若布

立山連邦を見て育った私は、 海というと、少し憧れに近い感覚がある。とにかく、目の前をさえぎる山がない。 そこからどこかへ広がっていくような、そんな期待感が沸き起こってくるのだ。潮風も波の音も、それらを象徴しているもので、 「山の彼方」ではなく…

カーネーション (母の愛)

母に贈る、赤いカーネーション。私は母ではありませんが、 私の母は、馬鹿な子ほどかわいいと、私を大切に思ってくれました。 とにかく、元気でさえいてくれたらいいと言ってくれました。残念ながら、それ以上の期待に応えることはできませんでしたが、 もし…

薔薇の香水をいただいたことがある。なんでも、本物の薔薇から作られたそうだ。欧州のお土産で、地場産業のようなものらしく、 細長い小さな瓶が、いかにも素朴な感じがした。ある朝、ちょっと試してみた。 薔薇とはこんな香りがするのか、正直そう思った。…

牡丹雪

朝、目覚めると、雪が積もっていました。この季節の雪は、降っても積もることは、ほとんどありません。時折は日差しも射しました。 けれども、 地表の雪が消えることはありませんでした。空を染めているように感じる牡丹雪は、 宙にとどまっているかのようで…

おたまじゃくし

子どもの頃、小学校でカエルの勉強をし、 カエルの子どもはオタマジャクシ、 卵は透明な帯状で、田んぼや川にいる、と先生が教えてくれます。すると、放課後には、やぁ!とばかりに、仲間と探しに行くのでした。発見するのはとても簡単で、田んぼに見つける…

卒業

中学の卒業は爽やかだった私だが、 高校は、卒業式が始まる前から涙ぐんでいた。高校生も終わりに近づいたころ、 先生が、一人ひとりにスピーチをさせた。 恒例なのだそうだ。内気な子が最初に当たったため、お話ができず、 結局クラス全員が話すことはでき…

金縷梅(まんさく)

兼六園に梅を見に行きました。でも、まだ早かったようです。梅林の中央に、金縷梅が一本あり、 ぼんやりと咲いていました。なんとなく、はっきりしないのが、 この花の特徴のようです。そう思います。春という季節も、そういえば、はっきりしません。暖かい…

なごり雪

「なごり雪」こんな歌がありましたね。 もう30年以上も前になるとは、信じられません。私の年齢では、ちょっと背伸びをした歌だったと思います。 ただ、兄がギターで練習していたので、 私も詳しくなってしまった、というわけです。兄は、「なごり雪」の伊勢…

躑躅(つつじ)

この近所でも、一時期、野良猫が増えて困ったことがあった。花壇や畑に被害が出て、ついに町内会が動き出し、 餌を与えてはいけないと、厳重注意の回覧まで出されたが、 可愛がっている人たちには、馬耳東風、馬の耳に念仏だった。実は、私も、「念仏を聞か…

Mission

彼らは助け合い、互いに励ましの声をかける。 職人は金工を励まし 大鎚を振るうものは小鎚を使う者を励ます。 ひとりが据え付けて、良しと言うと ひとりは釘を打って動かないようにする。わたしの僕イスラエルよ。 わたしの選んだヤコブよ。 わたしの愛する…

料峭

料峭をこゑがこゑ呼ぶ大海嘯(つなみ) 田島和生 明日は、3月11日です。今夜、特別な思いでお過ごしの方は多いと思います。今、日本は大変な試練の時を過ごしています。 私たちは、多くの課題を与えられ、 お互いが共に歩む隣人として、どのように行動すべきか…

チューリップ

チューリップというと、オランダを思い浮かべる人が多いだろうが、 原産国はトルコである。 チューリップという名前も、「ターバン」が語源であるらしい…いつの間にか覚えてしまいました。かつて、イベント会場のFM局でアルバイトしていたとき、 私はパーソ…

たらの芽

「棘だらけの灌木で、梢上の新芽を摘んで食用にする。 独活に似て香気高く、山菜の王者。」 (『風俳句歳時記』沢木欣一編 平成八年 )山菜の王者。その名に恥じず、たらの芽は、美味しい。 天麩羅が好みである。「たらの芽? 何、それ〜?」と 無教養をさら…

クローバー

四葉のクローバーの栞をいただいた。溢れるくらいの幸福と たくさんの愛に包まれますように。そう書かれてあった。教会のTさんからだ。Tさんは、おしゃれでスリムで、か弱い女性といった感じだけれども、 実は、とても骨太な性格のようで、しっかり者だと、…

春一番

レ―シック手術を受けて二年が経った。裸眼では歩けなかった、この私が、車の運転もできてしまう。 とても快適な日々を得ることができて、感謝というよりほかはない。ただ、術後はドライアイがかなり辛かった。 目が腫れるまで、目薬をさしたりしたが、 近づ…

啓蟄

我が家の裏に細い道がついていますが、 休みの日には、ここを近所の子供たちが走り抜けて行きます。 しかし、これは私道で、 この道を背中にしている家々のための道なのです。けれども、この近所では知らない人はいないから、 通り抜けに便利なこの小道を、…

ホワイトデー

主日礼拝。礼拝後、短大の先輩であるJさんに呼びとめられた。「はい、ホワイトデー!」と、小さな包みを渡される。ホワイトデー?バレンタインデーの覚えもないのに、ホワイトデーとは、何事?しかも、Jさんは、間違いなく女性である。しかし、そういうこと…

木瓜の花

かつて、先生とお呼びする立場の方が入院なさったとき、木瓜の花を手にお見舞いに行った。実は、木瓜だとは知らなかった。というのは、新年だったので、 お店にある梅のような花を何気に手にした、 それだけだったのだ。病室で、お花に詳しい看護師の方が、…

お雛様

我が家は、オール電化である。三年前、家を新築した際、 喧々囂々の家族会議の末、オール電化に落ち着いた。あれだけ迷ったことが嘘のように、快適だ。昨年の大震災による原発問題の中ではあるが、 経済的な面で、オール電化はお勧めしたい。しかも、安全で…