呼吸のように・・・

俳句のエッセー

春の雨

ときいろの雁行橋や春の雨   泊 康夫

 

雁行橋は、兼六園にある橋です。

亀甲橋とも呼ばれ、六角形の石が

雁が渡るように並べられているところから

名付けられました。

かつては、渡ることもできたのですが、

今は、橋の保護のため、渡ることができなくなっています。

くすんだ桃色だったように記憶していますが、

掲句は、ときいろ、だったと言います。

春の雨に濡れて、色を若干変えている雁行橋。

渡ると長寿を得るとの言い伝えがありますが、

そのように「ときいろ」は淡く、明るく、

おめでたい色に違いないでしょう。

柔らかな春の雨に濡れて、

艶めく雁行橋は、作者の心も潤したのだと

想像しました。