呼吸のように・・・

俳句のエッセー

神楽

奉献の剣を掲げ神楽果つ   F.Chieri

 

これは記念すべき「雉」30周年大会での作品です。

特選に選んでいただき、短冊もいただきました。

思い出深い作品です。

「神楽」は、冬の季語ですが、

大会は春に開かれており、当日の取り決めで、

「神楽」の季語を使ってもいいということになっていました。

 

バレエダンサーのように、くるくると回る踊りの神(しん)。

神は、大蛇の周りを、なんどもめぐり、最後は

目を真っ赤に光らせた大蛇の首を討ち取りました。

その後、剣を諸手に掲げて天を仰ぐしぐさをした神。

神楽の最後の場面を写生した一句です。

今年出版予定の、「雉」35周年合同句集に載せようと思っています。

俳句を読むと、当時の思いがよみがえってきて、

感動を新たにします。

俳句の景色は、ささいなことでも、不思議と忘れないものです。