『細見綾子集』
今日、届きました。
300句が収められ、すべてに短い脚註が書かれています。
まだ、読みはじめですが、
いろいろな見方があることがわかり面白いです。
脚注には、細見先生の自註に触れているものもあり、
知らなかった身辺のことなど分かって、鑑賞を深めています。
思い当たる句から引いて、読んでいます。
何となく、そうなってしまいます。
まず、
ふだん着でふだんの心桃の花 綾子
このふだん着は、母の手織りの木綿縞だそうです。
二人居の一人が出でて葱を買ふ 綾子
恐らく欣一先生が買いに出たのだろうというもの。
春雷や胸の上なる夜の厚み 綾子
この表現力が素晴らしい。湖の町の宿で詠んだらしいとのこと。
詳細を知らなくても、十分に素晴らしいのですが、
俳句の詠まれた背景を知れば、また、味わい深く、
心の奥処に沁みるようです。
菜の花がしあはせさうに黄色して 綾子
黄色は、幸せの色なのでしょう。
鮮やかで小さな花が房となって、天を仰いでいるようです。
「しあはせさうに」という心情をそのまま表すこと、
それが、ちょっと真似できない綾子先生の境地です。
少しは近づくことができますように…
これから読み進めます。