呼吸のように・・・

俳句のエッセー

文豪の町

 漱石の愁ひ顔なる遅春かな   田島 和生

こちらは、東京都新宿区にある、「夏目通り」でしょう。
文豪、夏目漱石の生家があることから、こう名付けられたようです。
夏目漱石の顔というと、凛とした鬚に、なかなかの美男で、
よくお目にするのは、右手で頭を支えているようなしぐさの写真です。
よく見ると、確かに愁い顔です。
千円札にもなった漱石ですが、お金には大変、苦労なさっています。
明治時代、正岡子規と共に学んだ漱石
吾輩は猫である」は、『ホトトギス』で発表されました。
春が遅いと愁いているのでしょうか。
いえ、春の愁いを思っているのでしょうか。
いずれにしても、少し憂鬱な表情に
春の日は眩しく対照的で、一層、愁いを感じさせたのかもしれません。