呼吸のように・・・

俳句のエッセー

夏目坂

 白梅の光ちりばめ夏目坂   田島 和生

白梅が、春の日差しをキラキラとまとっています。
もしかしたら、雨後の水滴かもしれません。
こちらは、「夏目坂」とあるので、夏目通りの一角でしょうか。
私は、夏目通りを知りませんので、分かりませんが、
白梅が所々に目につく町なのかと想像します。
あるいは、とても美しい白梅の一樹が目についたのかもしれません。
白梅は、ある意味で純真な漱石の心を思わせます。
真直ぐに文学の道を歩んできた、その純真さです。
これから日差しがまぶしくなる季節にあって、光を放っています。
文学の厳しさの中に身を置かれている作者は、
白梅を、羨望の思い出仰ぎつつ、
また、ご自身の志を新たにされたのではなかったでしょうか。

  志高くあれかし松の芯  和生

私は、この一句を思い浮かべました。