呼吸のように・・・

俳句のエッセー

馬鹿な医者

これは30年以上も前に聞いた話であり、

お話された方は、アメリカも長かったので、

日本での出来事かどうかも分かりません。

その方は、小児科医でした。

ある産婦人科に通う妊婦さんが、

産婦人科医に堕胎を申し込んだそうです。

しかし、時期的に無理でした。

そこで、その馬鹿な医者は(小児科の先生のことば)

早産を提案しました。

今、生めば、早産でその子は助からないと考えたようです。

そして、

その子は、生れてきました。

その馬鹿な医者は、そのまま放置し、

生れたばかりの赤ん坊を、ただ見ていたそうです。

しかし、その子は死にませんでした。

そのころ、小児科の先生方は、皆でわいわい言って遊んでいたそうですが、

そこへ救急連絡が入りました。

誕生から30分も経っていました。

直ちに小児科医が駆けつけ、その子の命に全力を尽くしました。

そして、その命は繋ぎ止められたそうです。

本当によかった。

しかし、まことに馬鹿な医者がいるもので、

母体から赤子が出れば、その子は一人の立派な人間です。

つまり、それはどういうことになるか、

子どもでもわかります。

これが、勉学を積んだ医師の行動でしょうか。

学問一辺倒で、人としての大切な何かを置き忘れて来たようです。

そもそも医者になってはならない人だったのかもしれません。

その子のその後は分かりません。

ただ、死ななくて良かった、

その産婦人科医にとっても、死ななくて良かったと思います。

が、その先生の末路は厳しいものになったことは

想像に難くありません。

一つの判断が、人生を狂わせます。

信念と理想をしっかり持って、医療に携わっていただきたいと願います。