呼吸のように・・・

俳句のエッセー

一つの命

ひとりに一つの命を

私たちは持っています。

大切だと教えられますが、大切かどうかを実感できるまでに、

多くの出来事と出会わねばならないかもしれません。

それは、かならず歓迎されるようなことではない、

辛く、悲しく、思い出すのもはばかられるような

ことではないかと思います。

肉親の死、別れ、挫折、老い、そのようなものでしょう。

その時に、命と向き合い、葛藤し、

命の意味を知る、それが人ではないかと思います。

生きたいけれど、生きられない人がいます。

だから、あなたは命を大切にしなさい、そう話しても、

それはその人の考え方であって、今の自分は違うと思うでしょう。

あの人と比較しても、自分の生命力にはならない、そうではありませんか。

今、自分の置かれたこの状況において、

自分自身が立ち上がれるかどうか、

その生命力はどこからくるのか、

それを教えて欲しいと願うのではないかと思います。

それは、与えられた命の根源から湧き上がってくるような力、

抑えられない生命力です。

どうしたら、それが与えられるのでしょうか。

日々、老いてゆく自分を見つめ、

残りの時間を数えつつ、一体何が生きる力となるのか、

難しい問題です。

それを与えてくれるのは、信仰しかないと思います。

どうか、お願い致します。

心の底にある生きる力が、

命の力が沸きあがるような言葉をください。

つまらない理屈や、分かり切った正論は、もう十分です。

頭で理解するのではなく、

命が躍動を始める、わけのわからない力を感じたいのです。

知りたいのです。感動したいのです。

私たちがここに居る意味を、自分の意味を知りたいのです。

人は何によって生きるのか、

その答えをいただきたいのです。