呼吸のように・・・

俳句のエッセー

足からめ念ずるかたち蝉の死す

足からめ念ずるかたち蝉の死す   田島 和生

落ち蟬、その死を詠っています。
「念ずるかたち」として、作者の心情を表しました。
俳句は、客観写生が基本です。
見たまま、風景の写生をもって
作者の心情を伝えます。
よく、写真や絵画に譬えられますが、
文字であっても、ストレートに事を言わず、
物を写して、言いたいことを表します。
つまり、
俳句は「事」を詠まず、「物」を詠むというわけです。
落ち蟬の姿を写生した作者は、
蝉の終、そして、夏の終わり、
更には、人の一生について考えが及んだことでしょう。
この世の者は、必ず終のときを迎えます。
それは、今という時を基準に、
早いか、遅いか、それだけの違いでしかありません。
人の姿は、やがて我が身に訪れる姿です。
この蝉は、いかがでしょう。このように、
あるいは穏やかな姿は、人の願いでもあるようです。
また、もっと思いを高くして、何かを念じているのかもしれません。
神は、この小さな蝉の一つも、心に刻んでおられます。
ましてや、私たち人間は尚のこと、
神様にとって掛け替えのない存在です。
自分自身を大切に、そして、同じように人も大切にしなさい、
聖書には、そう、書かれています。