呼吸のように・・・

俳句のエッセー

初秋風馬の真直な目と出合ふ

初秋風馬の真直な目と出合ふ   田島 和生

 

馬は草食動物です。

ですから、目は横を向いてついています。

視界は、確か90%あるはずです。

後の10%は、

真正面と真後ろ。

馬に近づくときは、真正面からと真後ろは、タブー。

馬が警戒して、何かするかもしれません。

その馬の目を見るときは、つまり、

どちらか片方の目を中心として眺めることになると思います。

馬の目は円らで澄んでいて、優しく感じます。

まして、秋の風の爽やかさの中に出会えば、

なおさら愛おしく思ったことでしょう。

「馬の目と出合ふ」と詠まれていますが、

見つめられたと思ったのではないでしょうか。

「真直な目」は、まるで、心の奥まで見透かしているようで、

ドキリとしたかもしれません。

「そんな目で見つめるなよ・・・」

そう思ったことから始まり、心の内を、馬に語り出したかもしれません。

馬は、体温が高く、触れると安らぎを感じるのはそのせいだと言います。

真直な馬の目を見つめながら、

秋の始まりを感じさせる風にあって、

温かなものを感じたに違いないでしょう。

安らぎを得た作者の心情を伺わせます。