雲の峰

雲の峰力士の如く崩れけり   田島 和生

 

「雲の峰」は積乱雲。

夏の季語です。

 

夏の青空にもくもくと湧きたつ白雲は、

夏独特のものです。

その雲が隆々と湧きたつ姿を、力士に譬えて詠んでいます。

このように、力強い力士を思ったのは、

作者の師である沢木欣一の一句、

虹懸けて男盛りの雲の峰

が念頭にあったからかもしれません。

隆々と湧きたつ夏の雲を頼もしく眺めていると

いきなり、横倒しに崩れたのでしょうか。

その潔さも、また、見事だったのでしょう。

大一番の最後、投げ出されたとはいえ

その戦いっぷりに、観客が称賛の拍手を送るような思いで、

崩れた雲の峰を、作者は眩しく眺めたのではなかったでしょうか。

美しさとは、人の生き様をいうのでしょう。

雲の峰力士の如く崩れけり

作者の美意識がよく分る一句です。