呼吸のように・・・

俳句のエッセー

熟れ田

ゆつくりと加賀の熟れ田を雲の影   田島 和生
加賀は百万石の地。
現在も広大な稲田を見る事ができます。
稔り田の色は落ち着いた黄金色で、
頭を垂れた一面の稲穂は、豊かさの象徴。
その加賀の熟れ田を、雲の影が、ゆっくりと流れてゆきます。
秋の雲ですから、ぽっかりと浮かんだ白雲というよりは、
千切れ雲、あるいは筋雲が、
青空にさらりとした印象で、流れているように想像しました。
何もかもが澄み、色鮮やかに目に映えたことでしょう。
加賀ご出身の作者にとって、郷愁を誘う景色だったかもしれません。
加賀という地名が、よく生かされています。
百万石讃歌のようでもあります。