呼吸のように・・・

俳句のエッセー

白百合

  白百合へ雨粒はつか高曇   田島 和生

「雨粒はつか」僅かな雨が、
曇り空からはらはらと落ちてきます。
それを見上げているのでしょう。
キラキラと輝く雨粒ではなく、ほつほつと微かに光る雨粒。
それは、「高曇」という言葉から想像しました。
高曇の空に、白百合の白は、
明るくとらえられたのでしょう。
白百合は、日本原産の花。
夏には、山の斜面など、一面を白にそめます。
白百合の清楚な白に、雨粒は潤いをもたらし、
高曇の空に、一層、清らかに見えたに違いありません。