呼吸のように・・・

俳句のエッセー

白鳥座

 月下美人天の真上へ白鳥座   田島 和生

月下美人は、夜に咲く花。
サボテンの仲間です。
不思議なことに、下へ撓らせた葉の先に
上向けに大きな花を咲かせます。
幻想的な大きな白い花は、夜にしか会えない
幻の美女に譬えられての命名でしょうか。
日がとっぷりと暮れ、あたりが落ち着いたころ、
月下美人がひっそりと開きます。
見ると、真上に白鳥座の十字が空に輝いていました。
まるで禁断の領域へ近づくことへの警告のようでもあり、
創造主が与えた、最高の美しさへの讃美のようでもあります。
「空」と言わず「天」と表されたことによって醸し出される
不思議への喚起です。
真夏の夜のまぼろしを謳います。