呼吸のように・・・

俳句のエッセー

成田山

  一筋の白滝懸かり成田山   田島 和生

成田山新勝寺。雄飛の滝。
本年度、同人総会吟行会は、成田山が吟行地でした。
とにかく広い敷地で、何を詠むかも試されるところ。
いい句材でも、同じ題材で、あまりにたくさん出句されると
うんざり…ということはあります。
田島主宰は、正統派でした。
成田山の雄飛の滝を詠みあげられました。
このような正統派もまた、詠みつくされていたり、
有名であるだけに、新鮮味が感じられなかったりする恐れもあるわけです。
しかし、名句となりました。
とどろくような滝ではありませんが、痩せてもおらず、
存在感のある滝、一筋。
しかし、「一筋の白滝」とは、なかなか出ない表現でした。
田島主宰は、対象に入り込み過ぎず、真髄を捉えるのに長けておられ、
ともすると、細かすぎる写生になりがちな即物具象を、
無駄一切を突き放して、本質を写生なさいます。
写生とは、本質に迫ることだと、改めて知らされる一句です。