呼吸のように・・・

俳句のエッセー

とこしへの一瞬

  とこしへの一瞬を滝落ちゆけり   田島 和生

延々と続く落ちゆく水、滝。
一滴一滴が集まり、流れとなり、滝となって落ちてゆく。
それが、とめどもなく続くのです。
とこしえに水は流れ続けます。
とぎれることなく、落ち続けます。
その中の一滴を目で追い続けたことはありませんか。
掲句は、とこしえに続く滝の一瞬を捉えたというよりも、
その中の一滴を捉えたと感じました。
一滴の一瞬が、延々と続き、滝は成り立っているのでしょう。
一滴は、瞬きほどの速さです。
しかし、その一瞬は、間違いなく存在します。
人の営みも同じようなものでしょう。
一生は瞬きほどだと言います。
しかし、掛け替えのない一瞬です。
そして、尊い価値ある一瞬です。
その一瞬を切り取った、一句。
十七音に人生観をにじませていると言えるでしょう。