呼吸のように・・・

俳句のエッセー

瀑布

  白山の雫集めし瀑布かな   田島 和生

手取川渓谷は、白山の水を集めて、深い渓谷を作り、
また美しく、激しい流れを見せてくれます。
いくつもの滝がありますが、
中には激しい音に、声も奪われるほどのものもあります。
展望台も設けられています。
季節の植物も豊かで、山藤や桐が咲くころ、
滝もまた、勢いのあるしぶきが
見る者を圧倒します。
滝の風にあたり、涼しさを感じ、
季節の頂点である夏を思う滝に対峙して、
しかし、言葉が出ないという思いをする人は、多いのではないでしょうか。
その滝を、「白山の雫を集め」と表現した感性が真似できません。
目の前に轟く滝を見て、奥に聳える白山へと思いを馳せる、
そのような広い捉え方をしたい、
そう思わされた一句でした。