呼吸のように・・・

俳句のエッセー

天の川

盂蘭盆会は、7月15日です。
これは旧暦をそのまま新暦に当てはめたもので、
従来より一か月ほど早くなります。
金澤は7月盆。
富山は8月です。
盂蘭盆会は、初秋の季語です。
そう考えると、やはり8月15日がふさわしいように思います。
墓参のころは空気が澄み、天の川が天空をわたるのを
鮮やかに見ることができます。
かつて、我が家では、二か所の墓参を朝と夜に分けていました。
朝、父が出勤する前に山へ、
夜、父が帰宅してから田中へ、
その夜の墓参は、天の川がとても美しく、記憶に留めています。
星と盂蘭盆会は、私の中では同じ場面に登場する、
同じ季節の物なのです。
となると、
はやり旧暦の盆がふさわしいと思えてきます。
天の川の下、父は下駄を鳴らして歩いていました。
姿勢のいい父は、文字通り夜道を闊歩して、
「ああ、きれいだ」と、
供花で空の星を差したこともありました。
下駄の音は遠く、天の川へ消えてゆきました。