呼吸のように・・・

俳句のエッセー

若夏

暑い日が続きます。
まだ、暑さに慣れていないので、疲れを感じる方も多いことでしょう。
春の寒さが続けば、早く暖かくなってほしいと願い、
初夏のお天気が続けば、雨が欲しいと思い、
勝手な望みが多いと思ったりします。
「暑いですね、今日も」
そう話掛けられて、顔を上げると、
その人は、いかにも暑そうに顔を赤らめて、
笑顔でこちらを見ていました。
「これから、もっと暑くなりますね」
そう言うと、笑って、
「そうですね」と答えました。
確かに暑い日でしたが、風が爽やかで、
気持ちのいい若夏を思いました。
盛夏になれば、風もこのようではないでしょう。
熱風になります。
暑くても、ちょっと愚痴を言っても、
初夏の涼しさは、気持ちのいいものです。
ふと、その方を見返すと、マスクを顎にかけておられました。
顔が赤らんで見えたのも、だるそうに見えたのも、
夏風邪のせいなのだと分かりました。
「お大事に…」
思わず口にしました。
「ありがとうございます」
はっとした表情で、そうおっしゃいました。
何気ない日常の一場面。
料金所での一幕でした。