球根

  球根に濡土をのせ入院す   田島 和生

「去年暮れから咳が出始め、最初は風邪と診断された。
 1月7日、広島のホテルグランヴィアで「雉」新年大会があり、
 大好きな熱燗が珍しくまずい。……」
もう、何年も前に、田島先生はアレルギー性肺炎を患い、
40日ほど入院なさったことがありました。
その菌が残っていて、今頃、悪さを始めたということのようです。
大したことがなくても、医者にかかるというのは嬉しいことではありません。
命にかかわることではない、すぐに良くなる、
そう自分に言い聞かせても、落ち着かない心を持て余しておられたことでしょう。
仕事の合間に、球根を植えて、ささやかな希望を抱きます。
しばらく、ほんのしばらくの間だけ、留守にするからと、
水分をたっぷり含んだ土を球根にかぶせます。
球根を労い、いたわる仕草はいつもとは変わらなかったでしょう。
しかし、今日は、ちょっと違っていました。
ご自身の健康を球根に重ねて、
その成長を心から願います。
「入院す」の一言に、万感の思いが込められた一句です。

お元気になられて、とても嬉しく思います。