呼吸のように・・・

俳句のエッセー

厩へ馬を曳いていくとき、
脚が軽やかなので注意してくださいとのこと。
人間と同じで、仕事に向かう足どりは、なんとなく重く、
帰りの足どりは軽いものだそうで、親近感をいだきました。
慣れない手つきで手綱をひく私に、
しかし、馬はちゃんと付き添ってきました。
指示されるとおり、ブースをぐるりと回って馬の頭を正面へ持ってきました。
私もほっとしましたが、馬もおとなしく、鞍を外されるのを待っています。
バケツにお水を張って、口へ持っていくと、
一生懸命飲んでいました。
大きな顔が、愛らしく感じます。
もう一杯。
人間でいえば60歳ぐらいだそうです。
よく見ると、御髪(鬣)に白いものが混じっていました。
見あげると、梁の上に燕が一羽、傍若無人にきょろきょろしています。
燕は、馬たちの頭上で自由にしているのですが、
馬たちは、まったく気にとめません。
燕は、この近くに巣をつくっているのでしょうか。
生き物たちの共存している姿に、
不思議に思う、人間の私でした。