目借時

  聴診器あてられてゐる目借時   西畠 匙

句集『曙光』より。
面白い句をお詠みになる方で、ファンも多くありました。
掲句は、ちょっと、とぼけたような作品で、
「目借時」の季語にもぴったりです。
春の風邪でしょうか?
健康診断でしょうか?
医者を訪れているようです。
診察の医師を前に、陽気に眠気が去らない作者。
服をまくり上げて、反り返るようにお腹を出している姿。
聴診器が、ちょっと冷たくて、くすぐったくもありますが、
眠気に勝るものではありません。
「なんで、こんなところで、こんなことされているんだ…」
そんな声が聞こえてきそうです。
身体の具合が悪いのではなかったでしょうか。
それすら忘れてしまうほどの、眠気だったのです。
聴診器をあてられている滑稽な姿を、淡々と詠みあげ、
おかしみを出している作品です。