寒の日矢

  明王の犬齒金色寒の日矢   田島 和生

WEP俳句通信、「近江逍遥」16句より。
「雉」主宰 田島 和生 先生の作品を鑑賞しています。
明王、それは、忿怒の相を現している諸尊、
中でも、不動明王ではないかと推察しました。
怖ろしい形相の不動明王に犬齒があるかどうか、
観察不足で思い浮かべることができませんが、あるようです。
明王のゆがめた顔の口元に犬齒がのぞき、日矢が差しました。
変わりやすい冬の空。早く流れてゆく雲。
雲の切れ間から、一瞬差す日差し。
その日矢が、明王の犬齒を、
スポットライトを当てたかのように照らし出しました。
金色が神々しく感じたでしょうか。
「寒の日矢」が、緊張感を醸し出しています。
懺悔を求められているかのように、作者は背筋を伸ばしたかもしれません。
読みようによっては、面白くもある一句。
作者がどのような表情で明王も見上げていたかは、
想像するに値します。