苗ながら…

  苗ながら檜まつすぐ冬の山   田島 和生

WEP俳句通信より、「雉」田島和生 主宰の作品、
「近江逍遥」を鑑賞しています。
「冬の山」とありますが、ここは杣山です。
大切に育てられている檜が、立ち並んでいるのでしょう。
その一角は、苗が植えられてありました。
檜は大変貴重な木材です。
それは、育てるのが大変だということでもあり、
その特性が優れているということでもあります。
耐久性があり、強度があり、加工に適して、香りもいい…
まだ苗の檜は、頼りない幹をして、見下ろされつつ並んでいたことでしょう。
しかし、作者は、その中に、
貴重な檜としての風格を見て取りました。
それが、「まつすぐ」という言葉に現れています。
まっすぐというと、杉もそうです。
杉は、軽く、まっすぐに加工しやすいという特徴があり、
柱や建物の上部に用いられることの多い木材です。
しかし、それとは違う、強靭な何かを、苗の中に見たのではないでしょうか。
季節は、冬。
寒さに、檜の苗は、まるで鍛えられているようにも思えます。
逞しい檜を称えている作品です。