呼吸のように・・・

俳句のエッセー

枯芒

  大うねりして白銀や枯芒   田島 和生

WEP俳句通信 Vol.96よりお届けしています。
「近江逍遥」16句
枯芒は、冬の間もそのままに残って立っています。
文字通り枯色をしており、歌の文句ではないけれど、
立ち枯れの姿に哀れを思います。
さて、掲句の枯芒は、白銀色をしているようです。
白銀色の枯芒を見たことがないので、想像ですが、
それは、琵琶湖に差す日の光を受けて、
白銀色に輝いて見えたということではないでしょうか?
「大うねりして」とありますから、一面の芒原を思います。
芒原の枯芒、湖の光に輝いて、哀れさより
凛とした緊張感すら感じられたのではないでしょうか。
その一本一本の立ち姿に見惚れていると、ふと風が来て、
芒は、あたかも一つの生き物のように動き出し、
大うねりしたのです。
そのうねりは、湖からの光を散らし、
まばゆいばかりの銀色になったのでしょう。
琵琶湖ならではの枯芒。
「白銀や」と詠った作者の感動が伝わります。