呼吸のように・・・

俳句のエッセー

夢から覚めて…

  先生の夢に覚めたる大くさめ   田島 和生

「林徹先生」と前書きされています。
この夢は、徹先生の夢でした。
私は、選を受けておりましたが、お会いしたことはありませんでした。
大変、厳しい方だったと伺っています。
「嘘字を使う者を信用しない」と言われ、
清記ミスや読み違えをすれば、喝が飛んだそうです。
また、見事な名乗りであったようで、
田島先生が、「ぴしり」と形容なさっておられました。
その厳しい徹先生が、夢に現れたのです。
指導を受けていた当時の、若き日の田島先生の感覚が
夢中でよみがえったことでしょう。
緊張感のある夢だったに違いないと思います。
夢から覚め、先生との対峙が、夢であったと分かりました。
安心と共に、一抹の寂しさが訪れます。
その思いが、「大くさめ」に表されています。
主宰には、主宰の悩みがおありでしょう。
徹先生の心が、田島主宰とともにあらんことを願います。