くぐるたび湖の匂ひの茅の輪かな 田島 和生
「茅の輪」「菅貫」「菅抜」
「夏越の祓の呪法である。茅または藁を紙で束ねて
輪形をつくり、人にくぐらせて災厄を払う。」
(「風」俳句歳時記 沢木欣一編)
大津在住の作者は、茅の輪をくぐるたびに、
湖の匂いがしたと詠みます。
淡白な香りでしょうか?
海とは違い、潮の匂いや、潮の湿り気を感じるこはないのでしょう。
お祓いの意味を持つ茅の輪を、どのような願いでくぐられたのでしょう。
おそらく、素朴な願いであったことと思います。
本当に必要なことは、単純で素朴なものです。
また、そのように茅の輪をくぐることの幸いを
しみじみと味わっておられたのかもしれません。
茅の輪をくぐる、それこそが幸いの証かもしれません。