呼吸のように・・・

俳句のエッセー

 柿熟るる井戸の底まで明るくて   秋篠 光広
柿が熟れる頃、空気が澄んで、凛とした緊張を感じます。
秋の気配は、日にも感じられます。
秋の日差しは明るくて、日が低くなれば、
遠くまで日差しが届きます。
その空気と日差し、そして柿の明るさが詠まれています。
井戸に日差しが通り、透き通った水に、底まで見えているようです。
その水面に柿の明るい色が写っているのでしょう。
表現している素材が多いようでありながら、窮屈な感じを与えません。
素材が、動かしがたくぴったりと合ったものであるので、
説明の一切を省略しているからでしょう。
このような柔らかな表現を身につけたいと願います。
日毎に秋らしくなってきます。
隣は何をする人ぞ…
俳句に詠んでまいりましょう。