呼吸のように・・・

俳句のエッセー

天辺の田

  天辺の田は水を張り遅桜   田島 和生

天辺の田とは、わかるようで、目にしない景色かもしれません。
おそらく、峡の水田、千枚田のイメージでしょう。
その水田の、最も高くにある一枚に、水が張られました。
その鏡のような水面に、遅桜が写っています。
山の気候がわかります。
微妙な季節がわかります。
遅桜は、点在ではなく、まとまって咲いていると私は思いました。
山の春です。
水と花との取り合わせは、他になんの説明も必要ありません。
日本人の持つ共通の感性に訴えかける一句です。