呼吸のように・・・

俳句のエッセー

ヨセフてふ墓

  桜蘂降るヨセフてふ墓の上   山田 春生

桜蘂降る、とは、哀れな風景です。
しかし、桜の蘂は赤く、散った後の桜の枝は、
むしろ華やいで見えることでしょう。

しかも「ヨセフてふ墓の上」です。
このヨセフは、受洗名なのか、本名かはわかりませんが、
異国の名前であるだけに、
一層、哀れさを思います。

ヨセフは、復活の日を待って、
桜の季節も、蘂降る季節も、じっとたたずんで
時を待っているのでしょう。