呼吸のように・・・

俳句のエッセー

淡雪

気持ちのいい陽気が続いたと思えば、
また、雪になりそうです。
こうして、暖かさと寒さが交錯しつつ、
少しずつ、少しずつ、春らしくなってゆきます。
春の雪は、淡雪。
暖かさを思わせる雪です。

  淡雪を被る老犬目を病めり   小室 登美子

犬はもともと目が良くないそうですが、
目を病んだ犬の目は、一層、弱弱しく思います。
老犬なら、なおの事、その哀れさを思います。
雪が降っても、反応の鈍い老犬に、
淡雪は明るく降り続いたことでしょう。
「淡雪」に温かな心情を感じさせる一句でしょう。