呼吸のように・・・

俳句のエッセー

化粧

「気になるところは、ありませんか」
と、優しく尋ねるのは、メイクの専門家でした。
「シミとか、シワとか…」
ぼそぼそ答える私を注意深く見つめ、
「化粧水は何をお使いですか」
と聞き返されました。
べつに化粧品を買いに行ったわけではありません。
美容室でのサービスでした。
もちろん、扱っている化粧品やシャンプーの紹介のためですが、
両手をマッサージして、顔のお手入れをして、
メイクアップしてくださいました。
「きれいになりました!」
と口々に称えるお店の方に、複雑な思いを抱き、
「それじゃ、これまでは、××だったということですか?」
とふざけて答え、皆で笑い合いました。
しかし、
久々に、まともなメイクをして、
私も、まだまだ、捨てたもんじゃないかな…と思ったりして。
しかし、それが分かっていて適当なのは、
もう、終わっているのかもしれません…
今日一日の美女?は、これからメイク落としで拭き取られ、
消えてなくなる運命なのでした。