呼吸のように・・・

俳句のエッセー

雉ネット俳句(8月)

大好評!「雉」ネット俳句8月の結果が
「雉」誌10月号に発表されました。

大前 貴之 選
〈特選〉
木虫籠を行き交ふ人や涼新た   北野 喜文 数日前までは暑苦しさしか感じられなかった人出が、立秋の声を聞いた途端に涼しく感じられる。誰もが経験している事だが、木虫籠という素材を得て秀句に結晶した。

夏シャツに洗濯ばさみ跡二つ   白石 正彦 夏は洗濯物が良く乾くが、それを追い越すほどに汗まみれの衣服が生じる。物干しからそのままおろして身に付けたシャツが涼しげだ。それに加えて、妻や母の「ちょっと待ってくれれば…」という苦情の声が聞こえてきて、クスリと笑えることもこの句の長所。

大き月はや山間に入りけり   西亀
 ゆったりと詠いだした句の調子が、「はや」の一語によって転調し、作者の詠嘆に読者を誘う。作者の位置を室内ととるか戸外とするかで観賞が分かれるが、座五に向かって集束する音調は戸外を想像させる。仕事帰りか散歩の途中か、月に見惚れていた作者が、我に返って家路を急ぐ姿が微笑ましい。

以上、特選句と選評でした。
その他の入選句は、「雉」ホームページをご覧くださいませ。
明日は、佐保光俊選を公開いたします。
お楽しみに…
雉ホームページ
http://www.kijihaiku.org