呼吸のように・・・

俳句のエッセー

万緑

  万緑の中や吾子の歯生え初むる   中村 草田男

夏の季語「万緑」。
この言葉を俳句に季語として用いた最初の人、中村草田男
私の句会では、まず、有名な俳人の作品を学んでから始めますが、
良く登場する俳人の一人が、この中村草田男です。
草田男の略歴には、いつも欠かさず記入することがあります。
それは、 
 1983年(昭和58)8月4日、受洗。
 翌8月5日、急性肺炎にて逝去。85歳。
亡くなる前日に受洗なさっているのですね。
想像ですが、カトリックに認められている緊急受洗ではないかと思います。
違うかもしれませんが。
受洗名は、ヨハネ・マリア・ビアンネ。
ラテン語が苦手だった聖人の名前です。
草田男は、ヨハネだったのですね。
こういうことを知っておくと、俳句の世界も広がりますし、
観賞も深まります。
「墓石にヨハネ」とあれば、草田男かな、と想像できます。
それにしても、
草田男の受洗の出来事には、話題性があります。
草田男が最後に選んだキリスト者の道。
主の恵みのお働き。
何かを思わずにはいられません。