呼吸のように・・・

俳句のエッセー

土竜(もぐら)

雪が融けると、雪の下から新しい世界が顔を出します。
落ち葉が再び現れて、ペタンコになった落ち葉の道は、
桜の木の間を、枯れ色に続いています。
朽葉を割って水仙の芽が立ち、草が萌えます。
雪折れの枝が、地面に刺さっていたり、散乱していたりします。
枝を踏むと、音もせず、ふにゃっとつぶれました。
水を含んで柔らかなのですね。
ベンチがあったので、近寄ってみると、
土が盛り上がって畝状に続いていました。
縦横無尽につづく、その細い畝は、
ところどころ土の塊を瘤のように残して、
右に折れ、左に逸れて、続いていました。
土竜の穴でしょうか…
他では無かったものが、ベンチの周辺では、
たくさんの筋模様のようになっていました。
幼いころ、土竜を見つけたことがありましたが、それ以来の出来事です。
ワクワクしましたが、土竜に出会うことはありませんでした。
もうすぐ啓蟄です。
本格的に、土中の生き物が動き出すことでしょう。
クマが目覚めれば、山に出かけるのも危険になります。
今のうちに、雪解けの観察をしたいと思っています。