呼吸のように・・・

俳句のエッセー

寒の雨

大寒より雪の日は少なくなっています。
それでも、寒は寒。
寒さは続きます。

雨が霧のように降り、山は鳥の声も遠くに聞こえます。
車を拒んでいた雪道も、雪が解けてしまい、
雪原も斑野となりました。
小雨は次第に強くなり、靄が山の頂から、徐々に迫ってきます。
桜に古い傷があり、それを覆うように枝が伸び、冬芽が立ちます。
たくましい桜の木々にも、靄が迫ってきました。
雨は、さらに強くなります。
ふいに木立の向こうから鳥の声が上がりました。
けたたましく鳴く鳥たち。
何かあったのでしょうか。
その声に追われるように、山の道を下ってきました。

寒の雨。
木々にとって、それは恵みなのでしょうか。
雪は木の根元から解けて、土が見えていました。
木々に命のぬくもりがあるということなのでしょう。