呼吸のように・・・

俳句のエッセー

きつね

狐には穴があり、鳥に巣はあれど
人の子は地の上に眠りたまいけり
住みたまえ君よ、ここに、この胸に…

讃美歌集にある歌。
狐には穴があり…狐の寝床は、どこでしょうか?

城跡で、狐に出会いました。
すっかり雪に覆われた場所に、谷から藪へ、
藪から畑へ、続く足跡があります。
クマかとおびえましたが、小さい足跡で、なんだろうと思っていました。
そこへ、山手から池の辺を通って、歩いてくる動物がありました。
私に気づいていないようです。
斜面から上ってきたところで、私とばったり目が合いました。
かなり驚いて、うろたえ、ビュッと方向を変えて走り、
斜面の手前で立ち止まりました。
と思うと、弓なりに飛び上がって、谷へ消えました。
貂だと思っていたので、貂ってあんな狐みたいな顔かと、
かえって調べてみると、
正真正銘、キツネでした。

初めて狐に出会いました。
狐の寝床はどこでしょう?
きっと、この山のどこかにあるのでしょうね。