呼吸のように・・・

俳句のエッセー

野菊

淡い紫の、小さな菊。
逞しく咲くという雰囲気ではなく、
頼りなげに風を受けている姿が似合います。
しかし、その素朴さゆえに、
むしろ強さを感じる方もあるかもしれません。

大きな木の枠で囲まれた井戸が発掘され、
今は、埋め戻されて、復元されていました。
遠くから見ると井戸なのですが、
近寄ると、中は平坦な土があるだけです。
その埋め戻された井戸に、野菊が一輪咲いていました。
小さな野菊は、儚げな日差しを惜しむように、
その小さな茎をのばして咲いているのでした。
けなげな野菊。
その姿は、むしろ逞しく思わせます。

野菊は、ただ、日を目指して、
まっすぐに立っているだけでした。