呼吸のように・・・

俳句のエッセー

曼珠沙華

反古焚いて焦げし土くれ曼珠沙華......和生
「反古を焚く」という言葉に惹かれました。
よく、土手に焦げた土を見かけますが、
掲句は、それが「反古を焚いた」焦げ跡だと告げています。
曼珠沙華の花が咲いて、川辺一面にはびこり、
焦げ土も覆わんばかりなのでしょう。
彼岸花」ともいう曼珠沙華ですが、
焼かれた反古は、煙になって、彼岸へと渡りました。
何が書かれてあったのでしょう。
どのような書物だったのでしょうか?
さまざまに想像します。
作者の思いも、煙となったのでしょうか?
とるに足りないものとして、曼珠沙華の土に焼いた反古。
人の世の不条理を告げているようにも感じます。