呼吸のように・・・

俳句のエッセー

加賀の国

かなかなの魂ふるばかり加賀の国.....和生

加賀の国は、田島和生先生の故郷です。
蜩の鳴くころ、久々に加賀の地へいらしたのでしょう。
幼いころの思い出を、そこここに見つけながら、
ゆっくりと散策なさったのでしょうか。
産土神へ足を運んだのかもしれません。
少年の自分が幻となり、駆け抜けて行きます。
思い出が湧き上がり、
そして、今の自分に至ります。
過ぎ去った年月が、哀愁を帯びて迫って来たのでしょう。
蜩の鳴き声は、心を揺さぶります。
「魂ふるばかり」とは、作者の動揺を伝えています。
魂がふるえるばかりに、蜩の声が身にしみている…
立ち止まり、かなかなの声のする天を見上げている、
夏帽子の男の姿が見えるようです。