呼吸のように・・・

俳句のエッセー

金木犀

金木犀の句が目立った、先日の句会。
まだ早いのでは…と、とぼけたことを言っていたのは私だけで、
街角にも、もう、あちらこちらに金木犀の香りがしていました。
足を止め、振り返り、その姿を探す。
金木犀には、それほど魅力があります。

金木犀風の行手に石の塀......欣一

金木犀は、庭木として植えられていて、
風がその香りを運んでいきます。
石の塀とは、家の塀でしょう。
石の塀へ風が流れていきます。
金木犀の香りを乗せて。
淡々と事実のみを伝えているようで、豊かな心情にあふれ、
風に乗る金木犀の香りの感動が伝わってきます。
ハッとして、風を目で追いかけたのでしょう。
写生の持つ力を再認識させる俳句だと思いました。