呼吸のように・・・

俳句のエッセー

秋の蝶

萱葺屋根は、燻しておかないといけない。
囲炉裏に火を焚いて、という旧来の生活をしないと、
屋根は腐ってくるということをきいた。

よく知らないと分からないことが多く、
一部だけ真似したり、新しくしたりしても、
結局、屋台骨が腐ってくるような問題が
起こることも、しばしば…

文化財として萱葺きを守っているところは、
それなりの苦労があると知る。

ある秋の日、揚羽蝶が萱葺屋根にやって来て、
翅を休めていた。
ぶら下がるようにして、翅を閉じていた。
たまたま、煙は立っておらず、
蝶は、熱くもなく、煙たくもなかったのだろう。
珍しいその日、その時を逃さず、
揚羽は古びた姿の家屋に
花を添えてくれたようだ。