呼吸のように・・・

俳句のエッセー

泰山木の花

泰山木の花は、ぎょっとするほど大きい。
しかも整った花弁を、作り物のように開く。
高い木の枝に花をつけるので、余り気にしなかったが、
崩れた空家の庭の泰山木が傾ぎ、
垣根の目の高さに開いているのを見た時は、少しばかり衝撃を覚えた。
整った花も、いつかは崩れていくもの。
崩れそうな花の大きさを目の当たりにして、
何も感じない人はないと思う。

ずっと心に思うことがあり、
どうしようかと考えるたびに、頭が痛くなる。
疲れ切った頭脳を、更に疲れさせる問題に、
ロダンの考える人のオブジェのように、固まってしまいそうだ。

 ロダンの首泰山木は花得たり    角川 源義

この悩める頭脳に大輪の花が付くようなアイディアが
空から落ちてくることを願う。