呼吸のように・・・

俳句のエッセー

月桂樹

月桂樹の葉は、お料理に使うローリエです。
ローリエの葉が欲しかったのでもなくて、
ギリシャ神話に思いを馳せたのでもなく、
庭に苗木を植えたことがありました。
春に植えた苗木でしたが、冬を越すのが大変で、
雪よけをしたり、一生懸命手入れをしました。
そのあとも栄養を与えて、害虫から守り…と、
花が咲くのを楽しみに世話をしていました。

五月に、黄色い可愛い花が咲きました。
花が終わると小さな実がなり、まだ細い枝に鳥が来てついばみます。
細い幹は、太陽の方へ伸びて行くので、
ちょっと傾きます。
それを真っ直ぐになるように綱を張ったりします。
やがて、私の身長に並び、私を越え、更に伸びて行きました。

しかし、10年以上経ってのち、止むなく切らねばならなくなりました。
密かにある思いをその木に重ねていたので、
希望を絶たれたようで、ひどく残念に思いました。

それでも、それは私の思いでしかなく、
実際、私の夢は続いています。
今は心の月桂樹ですが、心の中に大きな枝を張り、
花を咲かせ、豊かな実を実らせようとしている…
そう思い描いています。

形が変わっても、信じて希望を抱き続けるならば、
必ず何かが起こります。ただ、
それを見つける眼力は、身につけなければならないようです。