呼吸のように・・・

俳句のエッセー

牛鍋

今日の晩ご飯は、牛鍋でした。
別名「すき焼き」です。
焼き豆腐と葱をいっぱい入れるのが、我が家の特徴です。
健康的ですし、温まります。

父が好きで、ことあるごとに、よく作りましたが、
晩年、胃を切除してしまった父は、
食べたくても食べられない、ジレンマがあったようです。
そこで、鍋の中をしきりに箸で動かして、
皆が取りやすいように配置したりして、
「食べろ、食べろ」と連呼し、
私たちを閉口させました。
また、薬の副作用で味覚が変わり、
何を食べてもおいしくなかったようで、
味付けには随分苦労させられました。
にも関わらず、敏感なところもあって、
味噌を変えると、
「味噌を変えたな」と、すぐに気付きました。
不思議なことでした。

その時は、やってられない!と、
喧嘩ばかりしていましたが、
今思えば、それほど長い時間ではありませんでした…

今日も、牛鍋をつつきながら、
父の思い出話に花が咲いたのでした。