呼吸のように・・・

俳句のエッセー

五月晴

新しい大橋に向かって、川沿いの道を歩いていくと、
道よりも土手が高くなっているところがある。
いつもは通りすぎていたのだけれど、東屋の屋根が見えたので、
ちょっと階段を上がっていった。
すると、そこは小さな公園になっていて、
奥の方に石の日時計があった。

黒の御影石なのか、重厚そうな石が、斬新なデザインで立てられていて、
それを囲んで放射線状に、時刻の鋲が打たれていた。
朝や夕方であれば、影は何かの形になるらしかったが、
あいにく正午だったので、影は真っ直ぐ一本線だった。

川風が強く、雲の流れが速いと見えて、
日時計の影は、濃くなったり、淡くなったりしていた。

梅雨の晴れ間の蒸し暑さの中で、
風が心地よく感じられたものの、汗は背中を流れていく。

暑い季節は、まだまだ、これからである。