呼吸のように・・・

俳句のエッセー

蚊喰鳥(こうもり)

夕方、ヒラヒラと空中を飛ぶものがあった。
鳥とも違う、というのは、蝶々のように羽を動かしているように見えるからだ。
鳥ならもっと羽ばたきが激しいし、これほど小回りは効かないはずだ。

何だろう…

すると、地面に降りてきた。
アスファルトにピタッと吸いつくように着地する。
その時、車がその上を通って行った。

車輪の間だから、轢かれることはないと思った。
が、その変な生き物は、地面に張り付いたまま動かない。
恐る恐る近づいてみると、

「こうもり!」だった。

こうもりは、そのまま地面に張り付いていたが、
ぱっと飛び立ってしまった。
肉厚の蝶のように飛んで、空へ消えて行く…と思ったら、
そこには、たくさんの仲間がいて、
皆で夕空を飛びまわっていた。

まだまだ、こんな光景が見られて、
平和なことである。