呼吸のように・・・

俳句のエッセー

花疲れ

こっそり吟行句会を開いた。

「お花見をしたいわね」

などと話していた仲間と、
いきなり約束して出かけることになったのだが、

「どうせなら俳句を批評し合いましょう」

ということになり、小さな吟行句会となった。

兼六園を、梅林から入って一周し、石川門から金沢城址へ入る。
三の丸広場を通って、二の丸広場を巡り、また石川門へ戻ってきた。

それから卯辰山へ移動し、展望台へ行き、谷へ行き、
今度は、金沢市内を通過して、パンのおいしい喫茶店で句会は始まった。

その場で、一人五句、紙にまとめて書く。
お互い回し読みして、好きな句に記しをつけていく。
選ばれた句から、感想を述べていった。

「人の句を直すのも、勉強になるのよ」

と、やる気満々の彼女が中心となり、
人間関係が壊れない程度の批評、推敲が始まった。

これは上手くまとまっているけど、当たり前すぎる…
感情を言いすぎるんじゃない…
挙句は、
季語は、どれ…という失敗もあった。

言葉を探して、頭を捻る。
そのうち、目がシバシバしてきた。

何とかすべて推敲が終わり、
やる気満々の彼女以外、疲れて無口になった。
しかし、一日の実りを見ることができて、私たちは満足し、家路についた。

家に着くと、今日一日、付き合ってくれた皮靴は、
砂埃にまみれて、白くなってしまっていた。

しかし、今夜はもう、元気がない。

花疲れの皮靴をそのままに、
今日は、休もうと思う。