呼吸のように・・・

俳句のエッセー

春の川

水嵩が多い今頃の川は、
トプン…トプン…とときどき音をさせながら流れていく。

その一見ゆったりした様子が、逆に吸い込まれそうで怖い。

流れに沿って歩いて行くと、
後から後から追い越されていく自分が、頼りなく感じる。

流れは速い。

川の流れに途切れはないけれども、
視線は流れを追って、いつしかずっと先の方へ行ってしまった。

前方にある万葉の山々を迂回し、
川は、右手にそれて、見えなくなっていく。

堤防にたっぷりと身体を撫でつけながら…

春の川は、穏やかという感じではなさそうだ。